製造業が抱えるマーケティングの課題

近年では国内でもMAツールの導入が進んでいますが、製造業では導入が遅れているだけではなく、MAツールの導入効果を疑問視する声も目立ちます。その主な理由は、他の業種よりも厚いとされている「営業部とマーケティング部の壁」にあるといえるでしょう。

営業部とマーケティング部が定義するリードの基準には大きなギャップがあるため、MAツールを導入しても部門間での連携ができず、成果に結び付けるのが難しいのです。

製造業の現場では、作業や品質コントロールのプロセス化と効率化が進んでいます。しかし、営業には従来の属人的な手法で行われている企業が多いというのが現状です。このような企業では、リードの獲得から受注までを営業担当者が独断で行うケースも多いため、「リードを育成する」という意識が希薄になっています。

これは、伝統的とも言える販促中心の営業スタイルにも起因しているでしょう。旧来の営業手法に根強い信仰がある企業ほど、戦略的なマーケティングの浸透は困難です。

製造業に役立つMAツールの選び方

ここからは、製造業に役立つMAツールの選び方をご紹介します。

製造業でもMAツールを導入している企業はありますが、選び方が分からず導入そのものが目的になってしまっているケースも多いので、営業活動は既存のままというケースが珍しくありません。

しかし、MAツールの選び方や効果、メリットを正しく理解すれば、製造業でも活用の幅が広がり、業務の大幅な効率化と成約率の大幅な向上が見込めます。MAツールによっては、製造業向けに備えられた機能やテンプレートもあるので、初めてMAツールを導入するという企業は参考にしてみるといいでしょう。

選び方1：新たなリードを創出できるかどうか

既存の顧客リストだけで受注率を高めるには限界があります。中長期的な企業の成長を目指すには新たなリードの創出が欠かせません。企業間のやり取りにもネットが介在する近年では、自社Webサイトの充実によるリード獲得効果は無視できないでしょう。

リードが少ない企業は、Webサイトを作成できる機能が備わっているMAツールがおすすめです。この機能があれば、特別な知識がなくても自社サイトを構築することができます。

さらに、トラッキング機能を活用すれば、「どのような企業が自社サイトを閲覧しているのか」「どのようなページに興味を持っているのか」などもわかります。このようなリードのニーズを把握できれば、従来の方法では実現できなかったリードの獲得も可能です。

選び方2：部門間のスムーズな連携を実現できるかどうか

製造業では営業の力が伝統的に強く、マーケティング部門は発言力が弱いというケースがあります。両部門間での連携ができなければ、MAツールの効果を最大限に発揮するのは難しいでしょう。部門間だけでの解決が難しい場合は、組織全体でMAツールを活用できる仕組みを構築する必要があります。このような課題の解決が難しい場合には、営業部が活用している管理ツールと連携ができるMAツールを選ぶのがおすすめです。

「ほかの企業がMAツールを導入しているから自社も導入してみた」という程度の認識では活用の幅は広がりにくいので、経営陣や上層部もMAツールの活用による業務の効率化や新規案件創出の重要性を理解したうえで、積極的にツールを運用していくことが全社的な活用に繋がるでしょう。

選び方3：質の高いリードを創出できるかどうか

MAツールを活用して効率的なリードナーチャリングを行えば、質のよいリードだけを営業にパスすることができます。

しかし、営業部が独断専行しがちな企業では、営業が求めていることをマーケティング部門が理解する必要があります。そのうえで、営業担当者がMAツールの効果を実感できるよう、良質なリードをパスして営業の問題点を解消していきましょう。

質の高いリードを創出するなら、スコアリング機能が搭載されているMAツールがおすすめです。スコアリング機能を活用すればリードの興味度を数値化できるため、案件の質の高さを客観的に判断できます。

選び方4：業界に特化した機能があるか

製造業、とりわけBtoBの製造業界は、展示会の出展が多い、製品のセールスポイントが伝わりづらい、といった業界ならでは特徴があります。はじめてMAツールを導入するのであれば、最低限の機能に加えて、業界に特化した機能を持つツールがおすすめです

ツールによっては、製造業界に特化したメールテンプレートを豊富に備えて、実施したい案内がすぐに作成できる仕組みを持っているものもあります。おおよその機能が同じであれば、自身の所属する業界における使いやすさで決めるのも選び方のひとつでしょう。

選び方5：サポートが手厚いかどうか

製造業ではマーケティング担当が他の業務を兼任しているケースも多いため、運用後のサポートが手厚いベンダーを選ぶのがおすすめです。数多くのMAツールが国内で提供されていますが、サポートの範囲と質はベンダーによって異なります。

スムーズな運用を続けるためにも、「トラブル発生時にどのようなサポートが受けられるのか」、「運用中に不明点が生じた場合はサポートをしてくれるのか」などを導入前に確認しておきましょう。機能の豊富さだけでMAツールを選ぶと扱いきれなくなる可能性が高いので注意しましょう。

まとめ

今回はMAツールの選び方や、課題解決に役立つおすすめの機能などについてご紹介しました。

伝統的に営業の発言力が強い製造業でも、選び方次第でMAツールを活用することができます。どのMAツールを選ぶべきか迷ったときには、自社の課題を明確にしたうえで、今回おすすめした課題の解消に役立つ機能を搭載したツールを選んでみてはいかがでしょうか。

また、扱いきれずにツールを放置してしまわないために、サポートの範囲と質を確認することが大切です。MAツールの適切な選び方と活用方法を知って、ツールを使った業務の効率化と成約率の向上を実現させましょう。