建材・内装資材の企画開発から販売までを手掛ける株式会社ナガイ様。同社では全国の工務店やハウスメーカー、設計事務所、販売代理店など幅広い顧客に向けて商品を提供しています。近年はWebサイトやデジタルマーケティングを活用した顧客接点の強化にも力を入れており、現在ではMRCを活用したメールマーケティングや顧客情報管理、資料ダウ
ンロードフォームの運用、さらにはkintone※との連携による情報共有まで幅広く活用しています。
しかし、現在のような仕組みが整う以前は、せっかく獲得した顧客情報を十分に活かし切れていないという課題を抱えていました。
展示会へ出展するたびに数百件規模の名刺を獲得する一方で、Webサイトからの問い合わせや資料請求も継続的に発生していました。しかし、それらの情報は営業担当者ごとに管理されており、会社全体で共有・活用する仕組みは十分とは言えませんでした。
「営業ごとに輪ゴムでまとめて保管していました」(塚平氏)
展示会後にはお礼メールを送るものの、その後の継続的なフォローはほとんどなく、名刺交換をしたお客様との接点が、その一度きりで終わってしまうことも少なくありません。もちろん、それが特別なことだったわけではありません。
建材業界では長年、人と人との関係性を重視した営業活動が中心でした。顔を合わせて信頼関係を築くことが何よりも大切であり、現在のようなリード育成やマーケティングオートメーションという考え方は、まだ一般的ではなかったのです。
「業界的にもそれが当たり前でした。マーケティング活動を継続的に行う文化はあまりありませんでした」(塚平氏)
ただ、展示会や問い合わせを通じて出会うお客様の数は年々増えていました。その一方で、一度接点を持ったお客様との関係を継続する仕組みは十分に整っていない。
顧客情報はある。けれど、その後のコミュニケーションが続かない。
せっかくの出会いを、次の提案や商談につなげる方法はないだろうか――。
そんな想いから、ナガイ様では「顧客情報を集める」だけでなく、「顧客との関係を育てる」ための仕組みづくりとして、MRC導入に至りました。
メルマガが生んだ、新しい顧客接点
MRC導入後、同社が最初に取り組んだのがメールマーケティングでした。
それまで同社では棚卸し案内などのFAX送信は行っていたものの、新商品情報や施工事例、企業情報などを継続的に発信する仕組みはありませんでした。
「MRCを導入するからメルマガも始めよう、という流れでした」(塚平氏)
現在では月2回を基本に、新商品紹介、施工事例、カタログ更新情報、イベント案内、環境配慮製品の紹介などを継続的に配信しています。
配信を始めた当初は、どのような内容が読まれるのかも分からず、試行錯誤の連続だったといいます。しかし開封率やクリック率を確認しながら運用を続けることで、顧客が興味を持つテーマや情報が少しずつ見えてきました。
特に環境性能や自然素材に関する情報は反応が良く、業界の関心の高さを実感したそうです。

「意外と読んでるよって言われるんです」
取引先との商談時にそんな言葉を掛けられる機会も増えました。営業担当者が訪問していない期間でも、メールを通じて顧客との接点を持ち続けられる。その価値を実感する場面は少なくありません。
実際に、しばらく接触がなかった顧客から問い合わせが入るケースや、メール配信をきっかけに商談へ発展するケースも生まれています。
継続的な情報発信によって、顧客との関係を維持し続ける仕組みが構築されていきました。
“眠っていた名刺”が営業資産へ変わった
MRC導入によって最も大きく変わったのは、顧客情報に対する考え方でした。
以前は展示会後のお礼メールで終わっていた顧客に対して、現在では継続的に情報を届けています。
展示会では一度に350~400件以上の名刺を獲得することもあります。しかし、その場で商談化する顧客はごく一部です。
従来であれば、その多くは「将来のお客様候補」のまま埋もれてしまっていました。
しかし現在では、展示会で獲得した顧客にも継続的にメールを配信し、企業との接点を維持しています。
「時間が空いたお客様からメールへの反応があり、案件が動き出すこともあります」(塚平氏)
建材業界では、住宅会社や工務店が新しい商品を採用するまでに時間がかかるケースも珍しくありません。
そのため、すぐに成果へ結び付かなくても継続的に情報を届けることが重要になります。一度出会ったお客様との関係を途切れさせず、必要なタイミングで思い出してもらう。MRCはそのための基盤として機能しています。
顧客との関係を「点」ではなく「線」で捉える考え方が社内に根付き始めたことは、大きな変化でした。
ダウンロード情報が営業活動を変えた

同社では製品ページごとに資料ダウンロードフォームを設置しています。これにより、問い合わせ前の検討段階にいる顧客の動きを把握できるようになりました。
以前は、顧客が何に興味を持っているのかを営業担当者が推測するしかありませんでした。しかし現在では、どの製品のカタログがダウンロードされたのか、どの資料が閲覧されているのかを把握できます。
「カタログをダウンロードしただけのお客様の中に、営業が狙っている企業がいることもあります」(塚平氏)
これは営業活動にとって大きな価値があります。
問い合わせがなくても、資料ダウンロードという行動自体が興味関心の表れだからです。営業担当者はそうした情報を参考にしながらアプローチ先を選定しています。
また、どの商品に関心が集まっているのかを把握できるため、営業戦略や販促企画にも活用されています。顧客の行動が見えるようになったことで、勘や経験だけに頼らない営業活動へと変化しつつあります。
kintone連携による情報共有の進化
昨年からはkintoneとのAPI連携もスタートしました。
これにより、MRC経由だけでなく他の問い合わせチャネルからの情報も一元管理できるようになりました。
「対応履歴が残せるようになったことが大きいですね」(塚平氏)
以前は、問い合わせ対応状況を確認するために担当者へ直接確認しなければならない場面もありました。現在では、誰がどのような対応を行ったのかを履歴として確認できるため、情報共有が大幅に改善されています。
また、営業担当者とマーケティング担当者が同じ情報を共有できるようになったことで、顧客対応の質も向上しました。
さらに、データ転記や確認作業などの業務負荷も軽減されています。単なる業務効率化だけではなく、「組織として顧客を管理する」体制づくりにもつながっています。
さらに精度の高いマーケティングへ
現在、同社では蓄積された顧客データを活用しながら、より細かなセグメント配信や情報提供にも取り組もうとしています。「こういうお客様にはこういう情報を届けたい、という考えはあります。ただ、まだ仕組み化しきれていません」(塚平氏)
ナガイ様の顧客は工務店、ハウスメーカー、設計事務所、販売代理店など多岐にわたります。当然ながら、それぞれ興味を持つテーマや必要とする情報も異なります。今後は顧客属性や閲覧履歴を活用しながら、より最適な情報を届けることを目指しています。
ステップメールやスコアリング機能の活用も視野に入れており、「必要な人へ必要な情報を届ける」マーケティングへ進化しようとしています。顧客との接点を増やすだけでなく、その質を高める段階へと進み始めています。
つながり続ける仕組みが、営業の可能性を広げていく
塚平氏は、MRC導入によって最も変わったことを「顧客との接点」と語ります。「顧客との接点だと思います。メルマガですね」(塚平氏)
展示会や問い合わせで獲得した顧客情報を蓄積するだけではなく、その後も継続的に情報を届け、関係を育てていく。
それは単なる顧客管理ではなく、企業と顧客との関係づくりそのものです。
一度出会ったお客様とつながり続けること。
そして、そのつながりの中から新たな相談や商談が生まれること。
建材業界においても、営業活動は「出会うこと」だけではなく、「つながり続けること」が重要な時代になっています。
ナガイ様では今、データとコミュニケーションを活用しながら、お客様との関係を育てる営業活動が着実に根付き始めています。その積み重ねは、これからの営業活動の可能性をさらに広げていくはずです。
※ kintone:サイボウズ株式会社が提供する、ノーコードで業務アプリを作成できるクラウド型業務改善プラットフォーム。