工業用ファスナー、自動組立機、計測・検査装置など、多彩な製品・サービスを展開する日東精工株式会社様。
同社では現在、MRCを活用しながら Web マーケティングやメールマーケティング、顧客情報管理を行い、営業活動を支える基盤として運用しています。特に近年は、問い合わせ対応の自動化や顧客行動データの活用を進めることで、営業活動のスピードと品質の向上に取り組んでいます。
しかし、現在のような体制が整うまでには、多くの課題がありました。同社にはファスナー事業本部、産機事業本部、制御システム事業本部という3つの主要事業本部があり、それぞれ扱う製品や顧客層が異なります。そのため、Webサイトから寄せられる問い合わせや資料請求を適切な部署へ振り分ける必要がありました。以前はその作業を担当者が手作業で行っていました。

「問い合わせ内容や製品名を見ながら担当部署へ振り分けていました。件数も多く、かなり手間がかかっていました」(櫻井氏)
問い合わせが入るたびに内容を確認し、どの事業本部の案件なのかを判断し、担当者へ転送する。さらに、その後の集計や管理も人の手で行っていたため、業務負荷は決して小さくありませんでした。
また、日東精工様の製品は非常に幅広く、問い合わせ内容も多岐にわたります。同じお客様からの問い合わせであっても、内容によって担当事業本部が異なるケースもありました。そのため、製品知識や組織構成を理解している担当者でなければ適切な振り分けが難しいという側面もありました。
「担当者しか分からない状態は避けたいと思っていました。誰が見ても適切に対応できる仕組みが必要だったんです」(櫻井氏)
また、顧客がどの製品に興味を持っているのか、どのカタログを閲覧したのかといった情報も十分に把握できておらず、営業担当者が最適なタイミングでアプローチすることも難しい状況でした。
さらに、問い合わせ情報や顧客情報が担当者ごとに管理される場面もあり、引き継ぎや情報共有に時間を要していました。対応履歴が分散することで、顧客対応の遅れや機会損失につながるケースもあったといいます。こうした課題を解決するために導入されたのがMRCでした。
メールマーケティングの基盤として10年以上活用
MRC導入のきっかけはメールマガジン配信でした。
当時、同社では定期的に顧客向けの情報発信を行っていましたが、配信数が多いため、コストと運用性の両立が課題となっていました。「当時はメール配信が主な目的でした。他社ツールも比較しましたが、配信数が多かったのでコスト面で MRCが有利だったと聞いています」(髙橋氏)

現在では、毎月発行しているニュースレターを中心に、展示会案内や来場御礼メールなども継続的に配信しています。
特にニュースレターは10年以上継続しており、製品情報だけでなく、社長対談や特集記事、技術コラムなども掲載しながら顧客との接点づくりに活用されています。「開封率も毎回確認しています。どんな内容が読まれているかを見ることで、次の企画にも活かしています」(髙橋氏)
継続的な情報発信を行うことで、すぐに商談化しないお客様とも関係を維持できるようになりました。営業担当者が直接訪問する機会が少ないお客様に対しても、定期的に接点を持ち続けられることは大きなメリットだといいます。単なるメール配信ツールではなく、顧客との関係構築を支えるコミュニケーション基盤として機能しています。
自動振り分けが問い合わせ対応を変えた
現在、日東精工様が最も効果を実感している機能が、フォームによる自動振り分けです。2020年以降、MRCフォームを本格的に導入。顧客の所在地や問い合わせ内容、製品カテゴリーに応じて、適切な事業本部や営業担当者へ自動で通知が届く仕組みを構築しました。
「今は資料がダウンロードされた瞬間に、地域や事業本部ごとの担当者へ通知が届くようになっています」(有本氏)
以前は担当者が内容を確認してから振り分けていましたが、現在は自動で処理されるため、対応スピードが大幅に向上しました。また、担当者ごとの経験や知識に依存していた業務がルール化されたことも大きな成果でした。
「以前は『この内容ならこの部署かな』と判断していましたが、今は仕組みとして整理されています。誰が担当しても同じ品質で対応できるようになりました」(櫻井氏)
問い合わせから営業担当者へ情報が届くまでの時間が短縮されたことで、顧客へのレスポンスも早くなっています。
「回答の遅延が減り、フォロー漏れも少なくなりました。営業部門からも評価されています」
実際に営業担当者が顧客へ連絡するまでのリードタイムも短縮され、商談機会の創出につながっています。
「もし今MRCが使えなくなったら、一番困るのは振り分けメールですね」(櫻井氏)
その言葉からも、日常業務に深く浸透していることがうかがえます。
顧客の興味を可視化し、営業活動へ活用
フォーム機能の導入によって、顧客行動の把握も可能になりました。
以前は「資料請求があった」という事実しか分かりませんでしたが、現在ではどの製品資料がダウンロードされたのかまで把握できます。これは営業活動において大きな意味を持ちます。
「重要なお客様や接点が少なかったお客様については、ダウンロード通知が来たらすぐに営業へ連絡するようにしています」(有本氏)
例えば、しばらく接触のなかった顧客が特定製品のカタログをダウンロードした場合、それは何らかの検討が始まっているサインかもしれません。
営業担当者はそうした情報をもとにアプローチできるため、以前よりも自然な形で商談機会をつくれるようになっています。感覚や経験だけではなく、顧客の行動データを基に営業活動を進められるようになったことは大きな変化です。
「営業担当者からも『こういう情報は助かる』という声が増えてきました」(有本氏)
情報共有の質を高め、組織対応へ

問い合わせ内容や閲覧履歴、顧客情報が一元化されたことで、担当者間の情報共有も大きく改善しました。以前は担当者ごとに情報を管理するケースもありましたが、現在は必要な情報を関係者が共有できる環境が整っています。
「過去の履歴が見えるので、担当者が代わっても対応しやすくなりました」(有本氏)
拠点間での連携もスムーズになり、全国の営業担当者が必要な情報を把握しやすくなりました。
引き継ぎミスや対応漏れが減少し、顧客対応の品質も安定しています。また、これまで振り分け作業に時間を使っていた担当者が、分析や企画といったより付加価値の高い業務へ時間を割けるようになったことも大きな成果でした。
営業自らがデータを活用する組織へ
現在、同社ではMRCを営業部門にもさらに活用していく構想を進めています。これまではマーケティング部門が中心となって運用してきましたが、今後は営業担当者自身が必要な情報を取得し、顧客アプローチへ活用できる環境づくりを目指しています。「営業が欲しい情報を自分で取りに行けるような仕組みにしていきたいと思っています」(有本氏)
以前はマーケティング部門だけが活用するツールという位置付けでしたが、現在では営業側からも活用要望が出ています。マーケティング部門が分析結果を渡すだけでなく、営業自身がデータを活用できるようになれば、よりスピーディーで効果的な営業活動につながると考えています。
次の10年へ
データと人をつなぎ、営業活動をさらに進化させる

現在、日東精工様ではアラート機能の活用や顧客行動分析の強化など、MRCを活用したさらなる営業支援体制の構築を進めています。これまで蓄積してきた顧客情報や行動データを活かしながら、営業担当者がより適切なタイミングで、より効果的なアプローチを行える環境づくりを目指しています。
「営業が欲しい情報を自分で取りに行けるような仕組みにしていきたいと思っています」(有本氏)
メール配信ツールとしてスタートした MRC 活用は、問い合わせ対応の自動化、顧客情報の一元管理、営業支援へと進化してきました。しかし同社が目指しているのは、単なる業務効率化ではありません。
問い合わせ対応の自動化によって生まれたのは、業務負荷の軽減だけではなく、顧客との接点や行動履歴といった情報を組織全体で共有し、営業活動へ活かせる基盤でした。担当者の経験や勘に頼っていた情報を見える化し、必要な情報を必要な人へ届ける。そして、そのデータを活用しながら、お客様にとってより価値のある提案やサポートにつなげていく――。
「人が対応する価値」と「データが持つ力」を組み合わせながら、より良い顧客対応を目指す。日東精工様の取り組みは、次の10年に向けた営業活動の進化を支える土台となっています。