産業用コンピュータや組込みシステム向けハードウェアを提供するポートウェルジャパン株式会社様。同社は台湾に本社を持つ Portwell グループの日本法人として、製造業や社会インフラ分野を中心に、多様な産業向けソリューションを展開しています。
同社の営業活動は、単なる製品販売ではありません。お客様の課題や用途を丁寧にヒアリングしながら最適な製品構成を提案するため、長期間にわたる商談や継続的なフォローが必要となるケースも少なくありません。だからこそ重要になるのが、顧客との接点や営業活動の履歴を正確に残し、組織全体で共有することです。
しかし、MRC導入以前は営業活動の管理をAccessで行っており、顧客情報や過去の対応履歴を十分に活用できる環境とは言えませんでした。「お客様ごとの履歴を遡ったり、会社全体で誰が何をしているかを追うことが難しい状況でした」(立原氏)
個人単位での情報管理はできていたものの、同じ企業の別担当者とのやり取りや過去の商談経緯などを横断的に確認することは容易ではありませんでした。また、Web サイトにおいてもカタログはフリーダウンロード形式となっており、お問い合わせフォームから届く情報もメールで受信するのみ。顧客情報として蓄積されたり、その後の営業活動と紐付いたりする仕組みは整っていませんでした。
営業活動もマーケティング活動も、それぞれは行われている。
しかし、それらがデータとしてつながっていない。
そんな課題を解決するために導入されたのがMRCでした。
営業活動を組織全体で見える化
同社がまず取り組んだのは、営業活動の履歴管理です。導入当初から活用しているのが、MRCのコンタクト機能でした。
営業担当者は商談や訪問、電話対応などの日々の活動をコンタクトとして入力。蓄積された情報は全営業メンバーが閲覧できる環境を構築しています。「誰でも他人の履歴を見ることができますし、自分の履歴も確認できます」(立原氏)
以前は各営業担当者が週報を作成し、個別に報告を行っていました。しかし現在はコンタクト情報を検索するだけで活動履歴を確認できます。以前は週報をPDFにして提出していましたが、今はその手間もなくなったといいます。
情報共有の効率化だけではありません。営業マネージャーが案件進捗を把握しやすくなり、適切なタイミングでフォローを行えるようになったことも大きな変化でした。営業担当者だけが状況を知っている状態から、組織全体で案件を把握できる状態へ。
営業活動の見える化は、マネジメントの質向上にもつながっています。
特に同社のように扱う製品が多く、商談期間が長期化しやすい業界では、営業履歴を残すことの重要性は決して小さくありません。担当者が異動した場合や休暇を取得している場合でも、過去の対応履歴が残っていれば別の担当者がスムーズに引き継ぐことができます。
また、同じ企業に対して複数の営業担当者が関わるケースでも、過去の提案内容やお客様の反応を共有できるため、重複提案や認識違いも防ぎやすくなりました。「誰が担当しても過去の流れが分かるようになったことは大きいですね」(立原氏)
さらに、新人営業の教育という観点でも効果を実感しているそうです。過去の商談履歴やベテラン社員の活動記録を閲覧できるため、どのような提案を行い、どのように案件化へつなげているのかを学ぶことができます。
営業活動を個人の経験や勘だけに頼るのではなく、組織全体の資産として蓄積していく。
同社ではそうした営業基盤づくりが着実に進んでいます。
「忘れること」を前提にした追客の仕組みづくり
取材の中で印象的だったのが、「忘れることは罪ではない」という言葉でした。営業活動では見積提出や資料送付、フォロー連絡など、さまざまなタスクが発生します。どれだけ優秀な営業担当者でも、複数案件を抱える中ですべてを記憶だけで管理することは困難です。そこで同社では、リマインド機能を徹底活用しています。
例えば商談時に「1週間後に見積を提出する」と決まれば、その時点でリマインド日を設定。期限が近づくと通知が届く仕組みになっています。「必ずリマインドを設定するようにしています」(立原氏)
さらに、リマインド日を過ぎても対応履歴が登録されていない顧客については、ホットリード機能によって自動的に抽出されます。これにより、対応漏れや放置案件を未然に防げるようになりました。
「最初は営業側に抵抗があるかなと思いましたが、意外と好評でした。むしろ助かるという声が多かったですね」(立原氏)
人の記憶に頼らない。
システムでフォローする。
その考え方が営業活動全体に浸透しています。
問い合わせ対応の抜け漏れをなくす
Web サイト経由の問い合わせ管理でも、大きな改善が見られました。
以前は問い合わせメールが届くだけで、その後の進捗管理や担当者管理は個別対応に委ねられていました。しかし現在では、問い合わせごとに担当者を設定し、ステータス管理を行う運用を確立しています。
「まず問い合わせに対する抜け漏れや担当不明という状況がなくなりました」(立原氏)問い合わせが発生した際、担当者へ割り当てをし、その後の対応履歴もコンタクトとして管理します。
誰が対応しているのか。
どこまで進んでいるのか。
次に何を行うのか。
それらが一目で分かる状態となりました。
また、既存のお客様や頻繁に連絡を取り合っている商社様など都度の営業共有が不要な問い合わせについては、専用フラグを設定して営業側への不要な通知を抑制しています。情報共有を徹底しながらも、必要な情報だけを届ける。そうした運用ルールの整備も成果につながっています。
商談化率6%から20%へ。成果を生んだフォロー体制

MRC 導入による最も分かりやすい成果が、Web 経由の商談化率向上です。導入当初、Web サイトから獲得したリードの商談化率は6%前後でした。
それが現在では20%前後まで向上しています。数字だけを見ると大きな改善ですが、その背景にあるのは特別な営業手法ではありません。徹底したフォローです。
以前は問い合わせを受けても、その後のフォローが営業担当者任せになっていました。もちろん対応はしていましたが、他案件との兼ね合いで後回しになったり、改めて連絡しようと思っているうちにタイミングを逃してしまったりするケースもありました。
また、お客様側もすぐに導入を決めるわけではありません。数週間後、数カ月後に改めて検討を始めるケースもあります。しかし、そのタイミングを把握できなければ、せっかく獲得したリードを活かすことはできません。
「後から連絡してみたら、すでに競合他社で決まっていたということもありました」(立原氏)
現在ではリマインド機能やホットリード機能によって、フォローすべき案件が可視化されています。
見積提出後の確認連絡。
資料送付後の状況確認。
検討中案件への定期フォロー。
そうした活動をシステムが後押ししてくれるため、営業担当者も適切なタイミングでアクションを起こしやすくなりました。
「全部追い切れば、意外と案件になるケースは多いんです」(立原氏)
実際、問い合わせ内容によってはすぐに案件化しないものもあります。しかし、継続的にフォローを続けることで商談へ発展するケースは少なくありません。商談化率の向上は、優秀な営業担当者が増えたからではなく、誰もが同じようにフォローできる仕組みが整った結果とも言えます。
問い合わせを獲得することよりも、その後の対応を徹底すること。ポートウェルジャパン様の成果は、営業活動における「追客」の重要性を改めて示しています。
一人のマーケ担当でも回る運用体制
同社のマーケティング担当者は現在一名です。限られた人数で運用しているからこそ、効率的な仕組みづくりが欠かせません。メール配信やフォーム管理、問い合わせ管理などを一元化できる MRC は、少人数体制との相性が非常に良いといいます。
「営業管理まで含めた機能が一つのプラットフォームにまとまっているので、一人でも十分運用できています」(立原氏)
また、新機能や活用方法についてはマーケライズへ相談しながら運用を進めています。営業側からの要望を取り入れながら改善を重ねられる環境も、継続活用の理由の一つです。
人に頼らず、仕組みで成果を再現する組織へ

ポートウェルジャパン様では2017年の導入以来、約10年にわたって MRC を活用されています。その理由は単なる機能の豊富さではありません。営業活動や問い合わせ対応を属人的な運用から脱却させ、誰が担当しても同じ品質で対応
できる仕組みを構築できたことにあります。
「使い慣れてくるともっと高機能なツールに乗り換えるかもしれないと思ったこともありました。でも今はその予定はありません」(立原氏)
顧客情報を管理する。問い合わせを管理する。営業活動を記録する。
それぞれを別々に行うのではなく、一つの仕組みとしてつなげていく。その積み重ねが、商談化率向上という成果につながっています。
営業担当者の経験や勘だけに頼らない。
人が変わっても成果を再現できる組織をつくる。
ポートウェルジャパン様の取り組みは、これから営業 DX やマーケティング強化に取り組む製造業企業にとって、大きなヒントとなるのではないでしょうか。