MA(マーケティングオートメーション)ツールって何?
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マーケティングのプロセスを自動化するツール「MA(マーケティングオートメーション)ツール」。近年では国内での導入も増えてきていますが、導入率や普及率を見てみると、またまだ一般的なツールとは言えません。「そもそもMAツールって何?」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、MAツールの基本を詳しくご紹介していきます。MAツールの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、「マーケティング活動をサポートして商談数を効率的に増やすツール」です。2000年代からアメリカで活用が始まり、日本では2014年頃から普及するようになりました。
価値観の多様化や分散化が進む近年では、ユーザーにとって興味や関心のない情報はシャットアウトされてしまうため、テレアポや飛び込みのような従来の営業方法が通用しなくなりつつあります。
購買プロセスが大きく変わった現状で、企業がユーザーに情報を届けるためには、適切なコンテンツと適切なタイミング、適切なチャネルの選択が必要不可欠です。このような「One to Oneマーケティング」を、MAツールは多彩な機能で実現させます。
大手・中小企業を問わず、成約までの期間は顧客に左右されます。すぐにでも商品やサービスを利用したいと考えている「今すぐ客」がいる一方で、購入を検討している「そのうち客」もいるでしょう。
「今すぐ客」に対するアプローチは容易ですが、「そのうち客」にはリードナーチャリング(育成)が必要です。そのため、マンパワーで行うマーケティングでは「今すぐ客」にリソースが集中し、確度が低い「そのうち客」は放置される傾向にありました。
しかし、MAツールを活用すれば、「そのうち客」に対する的確なアプローチの継続が実現します。このアプローチは自動化できるため、人的リソースに限りがある中小企業でも「そのうち客」から「今すぐ客」を創出しやすくなるのです。
MAツールを使用しなくても「今すぐ客」の短期的な創出はできますが、一過性ではなく、継続的に「そのうち客」から「今すぐ客」を創出できるのがMAツールの特徴と言えます。
MAツールを導入することによる主なメリットを詳しく見ていきましょう。
近年では、ユーザーがチャネルを自在に使って自分に必要な情報を選別しています。ユーザーが求めているのはマス向けのCMではなく、パーソナライズされた情報の提供です。
MAツールを導入すれば、マンパワーでは対応できないOne to Oneマーケティングが実現するため、顧客とのエンゲージメントやユーザーの信頼度を高めながら、ブランド価値を向上させることができます。
MAツールの「スコアリング機能」は、顧客の見込み確度を数値で可視化するため、営業の優先順位を客観的に判断できるようになります。受注率の低い見込み客へのアプローチを削減できれば、営業活動の大幅な効率化が実現するでしょう。
BtoBでは、新規に獲得した見込み客を成約に結び付けるまでに数ヶ月~年単位の時間がかかることもあり、見込み度を高める「育成」の段階で、見込み客が競合他社に流れてしまうケースも少なくありません。
しかし、MAツールの多彩な機能は、成約に至らなかった顧客への再アプローチを容易にします。CRMツールと連携すれば、既存顧客へのアップセル・クロスセルに向けた施策への取り組みも可能です。新規獲得だけに頼らない収益プロセスを構築できれば、収益の向上と安定に繋がります。
チャネルの多様化で施策の効果を正確に判断するのは難しくなりつつありますが、MAツールを導入すれば、見込み客の行動履歴や購買確度などを可視化して、施策との関連性が明確にすることができます。具体的な改善点や問題点が見出しやすくなるため、マーケティング施策の精度向上にも繋がるでしょう。
MAツールによって機能はさまざまですが、ここでは主なMAツールに共通する機能をご紹介します。
見込み客の個人情報やWeb閲覧履歴、送信したメールの開封率、セミナーへの参加状況などを一元管理する機能です。単純な個人情報だけではなく細かい行動履歴に基づいたセグメンテーションができるため、従来の方法では難しかったOne to Oneマーケティングが実現します。
見込み客の新規獲得に欠かせない「お問い合わせ」や「資料請求」などのフォームを簡単に作成できる機能です。専門知識がなくても、短時間で本格的なフォームを作成できます。
Web上でリードがどのように行動しているかを解析する機能です。スコアリング機能と併用すれば、商談につながりやすいリードを抽出して営業担当者にパスすることもできます。
設定したタイミングでメールを自動的に送信する機能です。メルマガの一斉自動送信だけではなく、セグメントに分けたリードに対するOne to Oneのメール配信も可能です。
リードの属性や行動を数値(スコア)にして、見込み確度を可視化する機能です。営業担当の勘や経験ではなく数値で見込み確度が示されるため、非効率的な営業活動から解放されます。
メールの開封や資料請求など、事前に設定した条件を満たした見込み客に対して自動的にアクションを実行する機能です。
MAツールは、主に3つのシーンで活用できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
資料請求や問い合わせフォームの作成、ランディングページの作成機能を使って新規顧客との接点を作り、見込み客の情報を取得します。
獲得した見込み客はそれぞれに温度感が違うので、興味度合いを高めて商談へと繋ぐ「育成」を行います。MAツールのメール配信機能やシナリオ機能を使えば、見込み客の温度感や行動に応じた情報を提供できるため、効率的なリードナーチャリングが可能です。
スコアリング機能を使って見込み確度の高いリードを抽出し、営業にパスします。確度の高い見込み客だけがパスされるので成約までの流れに無駄がなく、営業担当のスキルによって成約率が左右されることもありません。
MA(マーケティングオートメーション)ツールを利用する前に、最低限覚えておきたい用語を紹介します。
・リード
見込み客のことです。
・ホットリード
購入確度の高い見込み客を指します。
・インサイドセールス
非対面コミュニケーションで営業活動を行う施策です。たとえば、テレアポの目的は「アポイントをとること」そのものですが、インサイドセールスは「顧客との関係を維持・強化しながら商談の機会を創出する」ことを目的とします。
・Webトラッキング
サイトを訪れたユーザーが、ネット上でどのような行動をしているのかを記録・追跡することです。ユーザーの流入元やサイトの閲覧時間などもわかります。
MAツールは、多様化・複雑化する購買プロセスに対応できるツールです。多彩な機能で見込み客の興味度合いを可視化するだけでなく、業務を効率化して施策を改善する余力も作ります。
MAツールを導入すれば必ず効果が出るとは限りませんが、収益の向上には、洗練された施策とOne to Oneマーケティングが必要不可欠です。
市場の大きな流れに取り残されないためにも、MAツールの機能と正しい使い方を学んで、効果的な運用を実現させましょう。