企画/運営から開催後のフォローアップ手法まで確実に成功に導くためのノウハウテクニック26選

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セミナーを新製品プロモーションやブランディングに活用する方法

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企業セミナーを開催する目的には、自社製品/サービスの知名度向上やメリット訴求、ブランディング、見込み客のフォロー/ナーチャリング、既存客の満足度向上/カスタマーサクセスなどさまざまなものがあります。セミナー開催目的によってそれに適した内容も異なります。例えば知名度向上のためには著名人を講師とした大規模セミナーを実施したり、見込み客のナーチャリングのためには見込み客と自社との関係を強固にするような充実した内容のセミナーにするなどが考えられます。それでは新製品プロモーションや自社のブランディングを目的とするセミナーはどのような内容ややり方が適しているのでしょうか。順を追って考えていきましょう。

新製品プロモーション向けセミナーのポイント

新製品プロモーションを目的とする場合、できるだけ大規模なものを実施して知名度を向上させ、製品のメリットやベネフィットを多くの方に知ってもらえばいい、と考えるかもしれません。市場投入時に知名度を向上させる戦略は決して間違いではありません。しかしそれだけでは市場に受け入れられるのは難しいでしょう。ポイントは対象製品の市場への現在の浸透度合いや受け入れ度合いに沿った内容のセミナーを企画・開催していくことです。例えば市場投入時の段階的な普及状況や普及率によってそれぞれ受け入れる顧客層の違いを表した「イノベーター理論」に従って、適切な顧客層向けのセミナーを企画することなどが有効です。

イノベーター理論によると、市場投入時に最初に製品を受け入れる「イノベーター(革新者)」から、市場浸透が徐々に進むに従って、「アーリーアダプター(初期採用者)」、「アーリーマジョリティー(前期追随者)」などと、製品を受け入れる顧客層が変化していきます。アーリーアダプター層で浸透率が13.5%、アーリーマジョリティー層で34%程度で、上記2層、特にアーリーマジョリティー層への訴求が市場へ本格的に受け入れられる際の重要なポイントになると言われています。これらの層に受け入れられるには、製品等を購入・利用すべき理由を合理的に説明し、かつそれらの理由により多くの消費者が採用しつつあることを訴えていくことが有効であるとされています。

イノベーター理論はどちらかといえばBtoC的な発想ですが、よりBtoB的な発想で市場浸透を図る場合には、ユースケースや成功事例、活用事例などがキーコンテンツになります。BtoB向け製品を新たに導入するとなると、初期投資や関連システム/業務フローの変更など、多くのスイッチングコストが発生します。また何らかの不具合が発生するリスクも考慮しなければなりません。従って、新製品を受け入れてもらうためには、上記のスイッチングコストやリスクを最小化するよう働きかけることが有効です。そのための一番の近道が上記のユースケースや事例などの紹介です。

これは必ずしもセミナーだけの問題ではありませんが、できるだけ早期に成功事例などを積み上げ、セミナーなどを含めた市場浸透策に活用できる状況をつくり出すことが重要になります。

ブランディングセミナー実施のポイント

ブランディングとは、自社ブランドの内容やイメージを消費者に正確かつ的確に伝えて、そして理解・記憶してもらうための活動です。いわゆるブランドイメージを浸透させるための活動と言い換えても良いかもしれません。ブランディングが必要な理由の中で最も代表的なものは、ブランドが他社との差別化要因として働くからです。

一口にブランディングといってもその施策には、ブランドそのものをマネジメンするブランド・マネジメントや、ブランドイメージや提供価値を発信するブランド・コミュニケーション、また単に情報を発信するだけではなく、ブランドイメージなどに基づいたユーザー体験施策を講じていくブランド・アクティベーションなどの活動があります。セミナーによるブランディングを行う場合は、上記のブランディング・コミュニケーションやアクティベーションという位置づけになるでしょう。

それでは具体的にどのような方向や内容のセミナーが効果的なのでしょうか? まずは、自社のブランドの内容・意味とブランディングの方針をしっかり把握してセミナーを企画することが重要です。もちろん自社製品/サービスなどの直接的な訴求はできるだけ抑え、短期的な利益追求を目的とするのではなく中長期的な視点で消費者と関係を構築して、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を目指します。

具体的な内容は、ブランドそのものの内容やブランディングの現状などによってさまざまなものが考えられますが、仮に伝えたいブランドイメージが「高性能のノートPCを提供する企業」であるとすると次のようなものが考えられます。

  • ブランドの根拠となるような内容を伝える

「高性能ノートPCを提供する企業であるなら…」
 ↓
「優れた技術力を有する企業であるはず」
 ↓
情報技術やIT関連の最新技術や高度な技術を紹介するセミナーなど

  • 一製品や特定の市場のみに関わる話題ではなく、広く業界や社会に影響を与える内容

「デジタルトランスフォーメーションによる産業構造変革」や「スマートシティ実現による社会基盤革新」などの話題

また、丁度自社ブランドとフィットする著名人がいるのなら、外部講師として招聘するのも効果的ですので検討すると良いでしょう。また、参加者の期待を裏切らない、さらには期待以上のものになるように内容を充実させておかなければ、セミナー実施が却ってブランディングを阻害する恐れがありますので注意が必要です。

まとめ

  • 新製品プロモーションやブランディングのためにセミナーを活用することはでるが、それぞれ適した内容ややり方がある
  • 新製品プロモーション目的のセミナーは、市場での受け入れ状況に沿って、それに適した消費者層へ訴求することが有効。また特にBtoB商材ではユースケースや活用事例がキーコンテンツになる
  • ブランディングのためのセミナーでは、短期的な利益追求よりも消費者との中長期的な関係構築を目指し、ブランドの根拠を裏付けするような内容や広く業界や社会に好影響を与えるような内容のセミナーが効果的

新製品プロモーションやブランディングは、セミナーのみで成立することはまずありません。しかし、セミナーをプロモーションやブランディング施策プロセスにうまく組み込むことで、それらをより効果的に進めていくことができます。ぜひそれらのセミナーも検討してみてください。

[プロモーション] セミナーを新製品プロモーションやブランディングに活用する方法

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