なぜBtoB企業にはMAツールが必要なのか?
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BtoCもBtoBも、マーケティング活動の目的は「自社の製品やサービスを必要な顧客に提供すること」です。そのため、BtoB企業でもネットを軸とした新しいマーケティング施策を検討する必要があります。実際に、以下のような課題を抱えているBtoB企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、従来の戦略が通用しにくくなった要因と、BtoB企業にMAツールが必要な理由を詳しくご紹介します。
BtoB企業にMAツールが必要な理由は、市場に「4つの変化」が起きているからです。それぞれの変化を詳しく見ていきましょう。
バイヤージャーニーと呼ばれる、「顧客が商品やサービスを認識してから購入するまでのプロセス」が変化しています。
以前はマスメディアなどを介した企業側の一方的な情報提供が主流でしたが、現在ではユーザー自らWeb上で情報を取捨選択するようになっています。このような状況下では、テレアポや飛び込みのように、企業側から積極的にアプローチをする「アウトバウンドマーケティング」の手法は適しません。
そのため、BtoB企業にも、アウトバウンドマーケティングからインバウンドマーケティングへのシフトが求められています。
電話営業やDM、マス広告などを使ったプッシュ型のアウトバウンドマーケティングは、顧客を追いかける施策と言えます。一方、インバウンドマーケティングは、「顧客に見つけてもらう」プル型の施策です。
アウトバウンドマーケティング | インバウンドマーケティング |
・電話営業 ・ダイレクトメール ・TV、ラジオ広告 ・展示会 など | ・ホームページ/ブログ ・SEO ・SNS ・動画 など |
ユーザーに「見つけてもらう」ためには、ユーザーのニーズを考慮したコンテンツが必要です。製品情報や技術仕様、会社概要のみで構成されたコンテンツは、ニーズが顕在化している見込み客に有効ですが、潜在顧客には届きません。インバウンドマーケティングでは、購買プロセスに応じたコンテンツを準備し、その情報を最適なタイミングでユーザーへ届けることが重要です
購買プロセスごとの具体的な施策例を見てみましょう。
購買プロセス | 認知 | 調査 | 比較 | リピート |
施策例 | ・SNS ・ブログ ・記事 ・動画 ・広告 | ・SEO ・eBook ・メルマガ ・活用事例 | ・製品ページ ・利用者の声 ・価格表 ・デモ動画 | ・各種サポート ・会員用サイト |
このように、インバウンドマーケティングでは、認知から既存顧客のリピートまでを含んだ広い範囲をカバーします。
調査の段階ではプッシュ型の「メルマガ」も用いますが、これはアウトバウンドの手法が主に「認知」の段階で効果がないからです。自社製品に興味を持っている顧客に対してなら、メルマガや電話営業などのプッシュ型営業も活用できます。
重要なのは「ユーザーが求めている情報を最適なタイミングで届けること」です。そのためには、購買プロセスの各段階で適切な対応ができるMAツールの活用が欠かせません。
MAツールには、ユーザーの動向を把握できる「Webトラッキング機能」や、見込み客の行動に応じて自動的にアクションを変える「シナリオ機能」などが搭載されているため、効率的なマーケティング活動が実現します。
バブル崩壊をきっかけに、企業側も「業績拡大」から「コスト削減」へと収益確保のスタイルを大きく変えました。発注が不透明な見込み客に割く時間を「無駄なコスト」と判断する企業が増えるのは、ある意味当然と言えるでしょう。
成約の可能性が曖昧な見込み客への対応は、新規顧客にアプローチする時間も奪います。そのため、「スコアリング機能」などで見込み客の優先順位を可視化するMAツールの導入が求められているのです。
BtoB企業がWebマーケティングを主軸にしても、ネット上での商談完結は考えないでしょう。企業側も顧客側も、最終的には「面談」を求めるはずです。そのためにも、MAツールを活用して、「営業担当者が購入確度の高い見込み客に会える仕組み」を作る必要があります。
従来は、企業のキーマンが商材を検討して導入を決める「トップダウン型」が一般的でした。しかし、現在では、PDCAを回す担当者が商材を検討する「ボトムアップ型」へと変わってきています。
検討プロセスが変わりつつある原因は、商材の複雑化と多様化です。そのため、通常業務が忙しい担当者ほど、役立つ情報を提供して欲しいと考えています。
最適なタイミングでの情報発信には、MAツールの「シナリオ機能」や「メール配信機能」が有効です。情報提供を自動化すれば、人的な負担を軽減しながら機会の損失を防ぐことができます。
近年では、BtoB企業にもOne to Oneマーケティングへの取り組みが求められています。One to Oneマーケティングとは、ユーザーを「個」で捉える概念です。
ユーザーを「集団」で捉えるマス・マーケティングは、テレビやラジオのCM、雑誌広告などのマスメディアを利用して認知を拡大させ、コンバージョンへと導く考え方です。一方、ユーザーの「個」に着目するOne to Oneマーケティングは、ユーザーの趣味嗜好や購入履歴に応じた情報を提供して、コンバージョンへと繋げます。
適切なOne to Oneマーケティングを行えば、以下のような効果が期待できます。
このような改善効果にMAツールがどのように関わっているのでしょうか。それぞれ詳しく見ていきましょう。
One to OneマーケティングはWeb上の行動履歴を元に行うため、正確で効率的なリードナーチャリングが実現します。見込み客の購買確度に応じて提供する情報を変えることも可能です。
なお、行動履歴の解析には、MAツールの「Webトラッキング機能」が役立ちます。購買確度に応じた情報の提供には「シナリオ機能」が使えます。
One to Oneマーケティングでは、データベースに保存された顧客の購入履歴や行動履歴を活用します。詳細に分類された顧客情報を利用すれば、既存顧客に対するクロスセルやアップセルの効果的なアプローチも可能です。MAツールには、顧客の情報を一元管理できる「リード管理機能」が備わっています。
顧客満足度と顧客ロイヤリティの向上はCRMの領域ですが、CRMと連携できるMAツールもあります。成約後の丁寧で適切なサポートが行えれば、リピート率や利用期間の改善に繋がるでしょう。
顧客が契約から解約までの期間内(顧客ライフサイクル)で企業にもたらす利益の総額を「LTV(Life Time Value) )と呼びます。LTVは主にBtoCで使われていた概念ですが、BtoBでも継続的な利用が重視されるようになってきました。
その理由の一つが「新規顧客コストの上昇」です。BtoBにはBtoCとは違って以下のような購買特性があります。
BtoBマーケティングではCAC(顧客獲得単価)に下限があるため、どうしても一定以上のコストが必要です。CACを下げられるチャネルを見つけることも大切ですが、安価なサービスの登場で競争が激化しつつある近年では、LTVを伸ばしてCACに投下できる予算を確保する方が現実的でしょう。
購買行動の変化によって従来の営業手法が効かなくなりつつあるのは、BtoBも同様です。また、業績拡大とコストの削減の両立を実現させるために、マーケティング活動の効率化も求められています。
MAツールを導入すれば、現在主流の「インバウンドマーケティング」にも柔軟に対応できるだけではなく、人的リソースや時間的なコストの削減にも役立ちます。業務の改善を目指しているなら、MAツールの導入を検討する価値は十分にあるでしょう。